こんにちは!
上井草すまいる鍼灸整骨院の赤羽です。
2012年に小さな町でオープンした小さな完全予約制・完全個室の治療院で、一人ひとりにじっくり時間をかけて施術をしています。
健康の役に立つ雑学や知識をブログで紹介しています。
子供の頃の記憶をどれくらい覚えていますか?
大きな出来事なら10年以上前でも覚えてます。
はっきり覚えている記憶もあれば、忘れてしまったものも色々あると思います。
でもはっきり覚えている記憶も実は偽物の記憶かもしれません。
今回のブログは記憶はすぐ偽物に入れ替わるという話です。
今回のブログはこんな人にオススメ
- 記憶に興味のある人
- 記憶に自信がなくなってきた人
- 一緒にいたのに覚えていることが他の人と違う人
- 脳に興味がある人
- 記憶を無くしてしまった人
今回の参考文献はこちら
記憶の移植
今回は1995年に認知心理学者のエリザベス・ロフタス氏が発表した「記憶の移植」についての実験を紹介します。
14歳のクリスという少年に対して以下の様な実験を行いました。
「あなたが子供の頃に経験した出来事」ということで、
- 3つの子供の頃に実際にあった出来事
- 1つの本当は起きていない偽の出来事
合計4つを提示しました。
これらの4つの出来事について
- 思い出したことは詳細を記録
- 覚えていない項目については「覚えていない」と記録
上記のようにまとめて5日以内に提出するように指示しました。
するとクリスは実際には経験していない「ショッピングモールで迷子になった」という項目に詳細なレポートを提出しました。
思い出したというのは以下のようにかなり詳細な内容でした。
・5歳の時にワシントン州のユニバーシティ・シティショッピングモールで迷子になった。
・年配の男性に助けられて家族と再会した時は激しく泣いた。
・二度と家族に会えないのではないかと怯えた。母親に叱られた。
・助けてくれた男性は青いフランネルのシャツを着て、眼鏡をかけ、髪は薄かった。
メチャメチャ具体的ですね。
繰り返しますが、これは実際には経験してない出来事です。
フォルスメモリ
このクリスのような状況はフォルスメモリ(間違った記憶)といわれる現象です。
クリスがおかしいという事ではなく、他の多くの人にも起こる現象です。
この実験を行ったのはクリスにだけではありません。
同時に行われた実験では全体の25%の人にフォルスメモリ現象が発現していました。
75%の人には出現していないなら、大したことないのでは?
確かにそう思うかもしれませんが、この実験で確認したのは4つの出来事だけです。
実際に私たちの頭の中には無数の記憶があります。沢山あったら、いくつかは偽物かもしれません。
フォルスメモリの実害
フォルスメモリの影響で実際にひどい被害も発生してしまっています。
1980年代のアメリカでは多くの児童虐待についての訴訟が発生していました。
親や保育園の先生などが「過去に虐待していた」と訴えらたのです。
実際に逮捕監禁されてしまった人も多くいました。
この背景には当時流行した「記憶回復療法」などのセラピーがあったと考えられています。
記憶回復療法とは悩みを持つ人から話を聴き、その原因を探るために脳の中で抑圧された記憶を様々な手法でよみがえらせて、悩みを解決するというものです。
- 人は辛すぎる記憶を思い出さないように脳の奥に閉じ込めて蓋をしている
- その記憶をよみがえらせ、解決することが悩みをなくす唯一の方法だ
というのが記憶回復療法の主張です。
この療法を受けた人は幼少期を思い出し
- 両親に虐待をうけた
- 保育園で毎日暴力を振るわれていた
- 悪魔崇拝の儀式に参加させられていた
- 赤ちゃんをさらってきて生贄としてささげてた
などの記憶をよみがえらせました。
その記憶をもとに両親や先生を訴え、そのうち何人かが実際に逮捕されました。
ある保育士は何の証拠もないのに禁固数十年の有罪判決を受け、実際に仮釈放まで18年かかってしまいました。
先程のクリスの事例のように記憶というのは簡単に書き換えられてしまいます。
記憶回復療法の度に偽の記憶が入っていたとしてもなんの不思議もありません。
記憶というのは写真のようにそのまま残っているのではなく、思い出すたびに新しいバージョンに上書きされ続けます。
という事はこの手法を使い、思い出すたびに違う記憶を植え付ければ、偽の記憶を作る事も可能ですね。
今でも悪用している所は結構ありますので、気を付けましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
記憶の回復はできませんが、心の傷の回復ならお手伝いできます。
心と身体のお悩みは当院にご相談ください。
https://www.kamiigusasmile.com/
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